スキマ寮@石橋2017年度 新寮生募集!!

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「やりたいことをやる」批判――乃木坂46『サイレントマジョリティー』を例に

ぼくが言うのもすごい「お前のことやろ」とツッコミをくらいそうなんですが、最近むくむくと、「やりたいことをやるんだ!」という論調に再び疑問が出てきました。

単純に言うと、「やりたいことをやる」という考えは、(ぼくの)親も言うし、(ワタミの社長みたいな)経営者も言うし、(秋元康みたいな)金持ちも言うし、(いろんな)フリーターも言うし、(栗原康みたいな)左翼系の学者も言うし、(正社員をのぞいた)みんなが言うことです。だから、おかしいのです。みんな言っていることというのは、このおかしな現状を作り上げている考え方なので、だから、基本的に疑ってかかるべきだとぼくは考えています。

さて、人間には、当然のことながら、「やりたいこと」の他に、「やらなければならないこと」もあります。そして、「やらなければならないこと」はほとんど(父の権威が失墜するとともに)なくなってしまいました。しかし、「やらなければならないこと」を意識しないと、なかなかひとは協力もできないだろうと思います。

詳しく述べていきましょう。
まず、「やりたいこと」を推し進めることの危険性についてです。

たとえば、乃木坂46の『サイレント・マジョリティー』という曲(好きでたまに聴くのですが)には、次のような歌詞があります。

「君は君らしく生きて行く自由があるんだ.大人たちに支配されるな」

「君は君らしくやりたいことをやるだけさ/One of themに成り下がるな/ここにいる人の数だけ道はある/自分の夢の方に歩けばいい」

ここにある通り、「君が君らしくやりたいことをやる」とき、その「やりたいこと」は基本的にひとりで行うものであるように思います。というのも、「やりたいこと」は人それぞれ、けっこう違うからです。もちろん、「やりたいこと」が似ているとしても、なかなか同じとはなりません。難しく言うと、欲望が拡散しているわけです。「君が君らしく生きて行く」と、みんなバラバラになってしまいます。

これは「夢」の実現についてもバラバラ志向であるという点では基本的に同じで、乃木坂46の歌詞には「夢を見ることは時には孤独にもなる」そうです。

このように、個人がバラバラになっているということで、一番喜ぶのは上位層です。たとえば、バラバラ志向をもとにしていると、経営者なら労働組合ができにくいし、政権側なら市民運動が盛り上がりにくいのです。経営者や政府が一番いやがるのは、固まって群れることです。だから、経営者も支配者もみな「夢」を高らかに歌い上げます。「夢」を追っている限り、基本的に、ひとは同じような境遇の他人を蹴落とすことはしても、群れて協力して歯向かってくることはめったにありません。

だから、ぼくは「やりたいことをやるんだ!」という論調になかなか両手を挙げて賛同はできないわけです。というのも、その考え方はひとりひとりがバラバラになっているこの現状を肯定することになりかねないからです。

そこで、ぼくはいつも「やらなければならないこともあるんじゃないのか?」と思います。(言い訳がましくなりますが、ぼくはこれでも、けっこう「やらなければならないこと」で動いている方なんですよ、実は)。

「やらなければならないこと」というのは、子ども作るとか結婚するとか社会運動をするとか、そんなことです。そうやって無理やり「やらなければならないことをやる」ためには、親とかパートナーとか同僚とかと協力しなければならないわけです。(仕事もそうですよね)。
(ほんで「自由に生きていいよ」って親から言われたら、一部しか結婚しなくなって子どもも産まなくなった、というわけです)。

といっても、ぼくは「やらなければならないことをみんなやろう!」と言いたいわけではありません。そんなことを言っても、「やらなければならないこと」をやる人などいないわけですから。

ただ、やはり、本来、団結を重視する左翼系の知識人(栗原康の有名なフレーズは「やりたいことしかやりたくない」です。)も付和雷同して「やりたいことをやろう!」と大合唱している光景はどうにかしないとなあ、と思うわけです。そのような「やりたいことをやろう!」という風潮は、彼ら彼女らが真っ向から立ち向かわなければならない考え方なのですから。。。